FJMOVIEが選ぶ、年度別ベストテン

1983年4位「東京裁判」

名前（敬称略）	コメント
中野　明	磁気４チャンネルの作品。（後日DolbyStereo化） 　長い作品ですが、観ていてあきるということがありません。
吟遊詩人	これはすごい。申し分のない編集テクニックはいうまでもなく、戦後の原点ともいえるこの大イベントにただただ圧倒。 　記録映画としてまぎれもない傑作の一つ。
たんじ	当時書いた批評から抜粋します。 　このフィルムのほとんどは勝利国によって撮影されたものである。「アウシュヴィッツ」にしても「南京」にしても、そして「東京」にしても勝利国が記録したフィルムである。そこでは写真を撮ること自体が暴力であり、己の力を誇示することになったはずだ。 　ところが、「東京裁判」という映画の中にあって、それらのフィルムが語るのは、撮影されたできごと自体ではなく、勝利国のそのような態度である。私たちは「東京裁判」を見ながら、勝利者の視点＝カメラを見ることになる。だから、これは映画についての映画、すなわちメタ映画である。 　なぜ、「東京裁判」が映画についての映画であることが問題になるのか。それは、フィルムが撮影されたときと、そのフィルムが映画になったときとで、大きな価値転換が行われているからである。 　戦争においてはあらゆる価値が変わる。「東京裁判」でも、戦勝国が力を誇示するためのフィルムが、それを批判する映画となっている。極東軍事裁判の疑義は多くの論者が指摘しているとおりである。時は価値を揺るがし、映画を二層に分解した。 　力のある作品です。
ＴＡＫＵ	編集能力や監督の力量は勿論ですが、佐藤慶のナレーションも見事だったと思います。
誠太	労作に敬意を表します。ただただ、すごい。
Potassium	秀逸のドキュメンタリ作品。ＮＨＫ「映像の世紀」(1995年)と共に歴史的な財産。 　今から思えば昭和５７年・５８年は、映画のみならず演劇なども含めてエンターテイメントの円熟期だったように思うのですが･･･。 　素晴らしい作品が多かったと思う。
FT	どんなごたいそうな＜歴史的証言＞やら＜歴史認識＞も、頭コツン、には負けてしまうことの美しさ？　それは映画的？　単なるワイドショー的興味か？　本人の思いは別にして、ひたすら無意味・無償に見える美しさから、映画的であると信じたい（笑）