新作『クロスファイア』仕上げ作業中の成城・東宝スタジオにお邪魔して金子修介監督のインタビューを行いました。
この日のインタビューは、現在公開中の新作『クロスファイア』についてのお話が中心となりましたが、ニフティ映画大賞作品ベストテン１位となった『ガメラ３ 邪神（イリス）覚醒』についてもお話を伺うことができました。
以下に『ガメラ３ 邪神（イリス）覚醒』に関するインタビューを紹介します。
−：（質問：以下 − と記載）：１作目、２作目が高く評価されていただけに、『ガメラ３（Ｇ３）』を作るにあたってはプレッシャーも大きかったと思うのですが。
金子監督（以下金子と記載）：意外となかったですね。
『Ｇ３』は勝手知ったるメンバーとやる仕事、気心の知れた人達とやれる仕事と言うことで、周りの評価を気にするよりも、またその人達とやれるという喜びが大きかったんですね。
『Ｇ３』と比べると今回の『クロスファイア』の方が、責任転嫁ができない…主演女優も監督の指名でしたから。怖いですね、プレッシャーと言う点では（笑）。
東宝映画作品も初めてでしたし、日々プレッシャーと戦いながらやりましたよ。
−：『クロスファイア』の青木淳子も特殊な能力を持っているという点で、『Ｇ３』で前田愛さんが演じた綾奈に似たところがあるのでは。
金子：似てないと思うけどなあ。
『ガメラ』では、浅黄も綾奈も、彼女達自身が元々能力を持っていたわけではなくて、ガメラなりイリスなりに選ばれてしまった。それで運命に翻弄されてしまった、というところがあるから。
その、運命に翻弄されたってところは似てますけどね。
かなり特殊な少女像…でも青木淳子は少女じゃないから、そこのところが違うし。
ただ、ガメラシリーズに出演した女優陣、中山忍や、水野美紀や、前田愛とか、系列でいうと矢田亜希子もその系列に入るかもしれない（笑）。
よく見ていただくと、共通したところがあるかなと。
−：『Ｇ３』の回想シーンでは綾奈を愛さんの妹の亜季さんが演じていましたが、その狙いは。
金子：単に妹というだけで。あの姉妹は全然似ていないんですね。それで声は愛の声を重ねたりしてます。
撮影のときにショートヘアーの亜季を見て、これは結構いいなと思ったり（笑）。
ちょっとファンサービスみたいなところもありますね。
それから、ほかの女優があの役をやってもみんな納得しないだろうと。
だからといって愛自身がやっても、１５歳の娘が１０歳頃を演じるというのは、やっぱり違和感があるしね。
−：前田愛さんはカナダに留学してしまいましたね。
金子：将来を考えるといい選択だと思います。元気でやって欲しいですね。
−：『Ｇ３』ははっきり決着を見せないラストでしたが、監督ご自身はあの続きは考えていらっしゃったのですか。
金子：それは考えなければならないときに考えるということで。
決着をつけなければならない時に「もういちど教えてほしい」と。
−：１作目の『大怪獣空中決戦』についても少しお聴きしたいのですが、浅黄の部屋に張ってある『メリー・ポピンズ』のポスターは、父親にかまってもらえない子供という浅黄と父親の関係を表しているのですか。
金子：そうですね。『メリー・ポピンズ』が好きっていうのもあるんですけど。
ファンタジー作品の中で、欠けた所がある家族っていうのは大きな要素なんですよ。
『アイアン・ジャイアント』も父親のいない家庭だったし。
−：今「ファンタジー」という言葉が出ましたが、シリーズ２、３作目はファンタジーとは少し違ったものになったと思うのですが。
金子：ガメラシリーズは２、３と変貌していって…それはデジタル技術の進歩なども含めた特撮をめぐる状況の変化や、ファンが求めているものが変わっていったということもありますし。
１作目のやり方というのは１回しかできないんですよね。
プロデューサー的な発想で言ってしまえば、同じやり方でどんどん新怪獣を出してシリーズを作っていくというのもあるかなとは思うんですが。
『ガメラ２』を作るときに考えたのは、また別の超古代文明の怪獣が出て来て、というのもできるんですよ。そしてそれをやると３作目もそうなるんです。
だけど２作目でそれをやらなかった。だから、２作目を作ることでシリーズの方向性が決まるんですね。
−：最後に、この先また「怪獣映画」を撮るお考えは。
金子：ありますね。怪獣映画は面白いですよ、やっぱり。
日本が世界に誇るエンターテイメントだから。
2000年５月16日、東宝スタジオにて
インタビューアー：戸崎 省、久遠寺善慈坊、だふにあ
短い時間でしたが、『ガメラ３』に関して、興味深いお話が聞けました。特に「怪獣映画は面白い」というお答えはとても嬉しい物でした。
『クロスファイア』公開前のお忙しい中時間を割いていただいた金子監督、そして『ガメラ』に関する質問をすることを快諾してくださった東宝宣伝部の幕内さんにお礼申し上げます。
金子監督の新作『クロスファイア』についてのインタビューもぜひご覧下さい。