邦画部門

【作品賞】（10本まで） 　　「Ｄｏｌｌｓ〈ドールズ〉」　　　８点 　　「ピストルオペラ　　　　」　　　５点 　　「リターナー　　　　　　」　　　４点 　　「たそがれ清兵衛　　　　」　　　２点 　　「仄暗い水の底から　　　」　　　１点 【コメント】 洋画のレベルの高さに比べ低調な１年だった。 昨年の邦高洋低と好対照。 【監督賞】　　　　　　　　　　　　　　作品名 　　 [北野武　　　　　　　　] （「Ｄｏｌｌｓ〈ドールズ〉」） 【コメント】 『キッズ・リターン』をピークに、この数年やや停滞していた感がありましたが、 この作品には復活の兆しが感じられました。 【主演男優賞】 　　 [浅野忠信　　　　　　　] （「殺し屋１（イチ）」） 【コメント】 この俳優さん、本当に変態ではないかと思わせる「迫真」の演技に一票。 【主演女優賞】 　　 [鈴木杏　　　　　　　　] （「リターナー　　　」） 【コメント】 この年齢でこれだけの演技ができるのは大したもの。 将来が楽しみですが、名子役大成せずというジンクスにめげず、きちんとした演技 の勉強も続けてほしいものです。 他にも、「たそがれ清兵衛」の宮沢りえ、「Ｄｏｌｌｓ〈ドールズ〉」の菅野美穂 なども水準以上でした。 洋画と同様に、女優陣が光っていたのが今年の特徴。 【助演男優賞】 　　 [山崎努　　　　　　　　] （「模倣犯　　　　　」） 【コメント】 さすがにベテラン。作品そのものは大したことはありませんでしたが、この人の存 在のおかげで血の通った映画となりました。 【助演女優賞】 　　 [山口小夜子　　　　　　] （「ピストルオペラ　」） 【コメント】 【新人賞（キャスト部門）】 【コメント】 　　 [菅野莉央　　　　　　　] （「仄暗い水の底から」） 【新人賞（スタッフ部門）】 　　 [ｔ．ｏ．Ｌ　　　　　　] （「TAMALA2010　a punk cat in space」） 【コメント】 決して成功していない実験作とはいえ、その志の高さと今後への期待をこめて。 【脚本賞】作品名 　　 「Ｄｏｌｌｓ〈ドールズ〉」 【コメント】 　最後まで決められなかったのがこの賞。 「リターナー」も設計がしっかりした映画で見逃せませんが、やはりハリウッド映 画の模倣という感は拒むことができませんでした。 　次作はオリジナリティーに期待。 【映像賞】 　　「ピストルオペラ　」 【コメント】 「Ｄｏｌｌｓ〈ドールズ〉」にすべきかかなり迷いましたが、この不思議な様式美 は今年の大きな収穫でしょう。 【音楽音響賞】 　　 「たそがれ清兵衛　」 【コメント】 　この作品での富田勲の音楽は、この数年間の邦画の中でも、きわめて特筆すべき 存在でした。 　音楽により登場人物の感情や雰囲気をなぞるのではなく、映画にプラスアルファ をあたえるという意味で、とても意義がありました。 　そういった意味では、かつての武満徹を思わせるものがありますが(たとえば黒 澤明『乱』が好例)、この音楽があることによって映画はまったく別個の生命を得 たといってもいいでしょう。 　老人の監督だと、どうしても音楽の感覚が古くさくなってしまうところですが、 こういう音楽の使い方は尋常のものではありません。作曲家のみならず、こういう 音楽を起用した監督にも功労があります。 　山田洋次をますます見直した次第。 　ただし井上陽水のテーマ曲はよけい。画竜点睛を欠くというのはこのことで、ど うしてエンディングロールも富田勲に依頼しなったのだろうか……。