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【作品賞】（10本まで）
『インファナル・アフェア 無間序曲』 ５点
『ミスティック・リバー』 ５点
『オーシャン・オブ・ファイヤー』 ４点
『21グラム』 ２点
『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』 ２点
『わが故郷の歌』 １点
『モーターサイクル・ダイアリーズ』 １点
【コメント】
上位作品は、印象としては地味だが、どれもこれも素晴らしい作品
ばかりだった。
前作を凌ぐ壮大な悲劇『インファナル・アフェア 無間序曲』。
俳優であれ監督であれ、クリント・イーストウッドの関わった映画
として文句なしの最高傑作『ミスティック・リバー』。
ハリウッドの古き良き娯楽映画の伝統を甦らせ、個人的なツボに
ずっぽりはまった『オーシャン・オブ・ファイヤー』。
生と死に関する重い問題に真正面から向き合った『21グラム』は、
３人の俳優たちの演技が息を呑むほど素晴らしい。
さすがの完結編『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』。
バフマン・ゴバディとウォルター・サレスは、欧米と日本以外の
監督では今一番好きな２人だ。『わが故郷の歌』と『モーター
サイクル・ダイアリーズ』は、それぞれの最高傑作とは言えないが、
今後のさらなる活躍を期待させるに十分な出来。
映画祭で見て、正式公開がまだの作品はいつも入れないことにして
いるのだが、もし入れた場合はバフマン・ゴバディ監督の第３作目
『Turtles Can Fly』が『インファナル・アフェア 無間序曲』『ミス
ティック・リバー』とトップを争うことになっただろう。
参考までに、キネマ旬報の読者ベストテンで、順位を付けて投票した
10本を上げておく。
１．インファナル・アフエア 無間序曲
２．ミスティック・リバー
３．オーシャン・オブ・ファイヤー
４．21グラム
５．ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還
６．わが故郷の歌
７．モーターサイクル・ダイアリーズ
８．THREE 臨死
９．列車に乗った男
１０．箪笥
この他にも『ビッグ・フィッシュ』『スパイダーマン２』『春夏秋冬
そして春』『Mr.インクレディブル』あたりは、普通なら当然ベストテン
に入るべき作品だ。他に『コールドマウンテン』『ドラムライン』『シル
ミド』『ヘルボーイ』『コラテラル』『ドーン・オブ・ザ・デッド』など
も印象に残る。今年の洋画は最高傑作も多かったが、それに準ずる傑作の
裾野がとても広かったという印象だ。
また、韓国映画はどれも面白かったが、こうしてみると意外と上位
には食い込まず。むしろ韓国映画の影に隠れ、衰退したと言われている
香港映画に何気に素晴らしい作品が多かった。
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【監督賞】 作品名
[クリント・イーストウッド] （『ミスティック・リバー』）
【コメント】
監督作がこの１本しかなかったとしても、イーストウッドは最高の
映画作家として歴史に名を残したことだろう。『インファナル・
アフェア 無間序曲』も名作だが、あれは演出と言うよりも俳優たちの
素晴らしさに分がある。『オーシャン・オブ・ファイヤー』のジョー
・ジョンストンは、演出自体はゆるい(そのゆるさが良いのだが)。
『21グラム』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥも素晴ら
しいが、やはりイーストウッドには及ばない。
【主演男優賞】
[ショーン・ペン] （『ミスティック・リバー』『21グラム』）
【コメント】
元々大好きな俳優だったが、１年の内に『ミスティック・リバー』と
『21グラム』の２作品を残すというのは尋常ではない。全盛期のロバ
ート・デ・ニーロを越えた凄まじい充実ぶり。
この合わせ技にはさすがに一歩譲るが、本来なら主演男優賞を取って
当然だったのが『インファナル・アフェア 無間序曲』のフランシス
・ン。ペンがデ・ニーロを凌いだように、ンは『ゴッドファーザー』
シリーズのアル・パチーノを凌いでいる。
この２人があまりにも強力だったので、他の人の受賞は考えられない
のだが、それでも特筆しておきたいのは『ロスト・イン・トランス
レーション』のビル・マーレイ、『オーシャン・オブ・ファイヤー』の
ヴィゴ・モーテンセン、『THREE』第３話のレオン・ライ、『モーター
サイクル・ダイアリーズ』のガエル・ガルシア・ベルナルといった
ところだ。
【主演女優賞】
[ナオミ・ワッツ] （『21グラム』）
【コメント】
外国人女優で今一番好きなのがこの人。長い下積みを経た後の遅咲きの
花だけあって、浮ついたところがない。落ち着いた演技も美貌も、全てが
好ましい。今30代の半ば。この先10年で、さらに素晴らしい女優となる
ことだろう。
【助演男優賞】
[オマー・シャリフ] （『オーシャン・オブ・ファイヤー』）
【コメント】
これには悩んだ。何よりも『インファナル・アフェア 無間序曲』の
素晴らしい俳優たちが、全員主演とも助演とも言えるからだ。問答
無用に素晴らしいフランシス・ン、『THREE』の演技も印象に残る
エリック・ツァン、実はトニー・レオンと同い歳という驚愕の事実を
誇るアンソニー・ウォン…誰でもここに入れられるわけだ。
しかし気に入らない。特にフランシス・ンは、本来なら堂々主演男優
賞に輝くべき存在である。助演賞でお茶を濁したのでは、かえって
失礼に当たる。そこで『インファナル・アフェア 無間序曲』の俳優
たちは意図的に全員除外することにした。
それでもなおかつ強力な候補が残る。『ミスティック・リバー』の
ティム・ロビンス、『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』ショーン
・アスティン、『ビッグ・フィッシュ』のアルバート・フィニー、
『オーシャン・オブ・ファイヤー』のオマー・シャリフ、『モーター
サイクル・ダイアリーズ』のロドリゴ・デ・ラ・セルナ、そして何と
言っても『21グラム』のベニチオ・デル・トロ！ いやはや何とも
強力極まりない。
最初はベニチオ・デル・トロと書いたのだが、『この映画でこの役を
演じられることが楽しくてたまらない』という風情が画面から溢れ
出し、それが見る者を幸福にしてくれたオマー・シャリフに一票を
投じることにした。何もしなくても、ただそこにいるだけで人を魅了
してしまう味わいは、他の若手に出せるものではない。
【助演女優賞】
[ジェシカ・ラング] （『ビッグ・フィッシュ』）
【コメント】
『インファナル・アフェア 無間序曲』のカリーナ・ラウにしたかった
のだが、助演男優賞と合わせる意味で意図的に除外した。
『オールド・ボーイ』のカン・ヘジョン、『モンスター』のクリステ
ィーナ・リッチ、『ミスティック・リバー』のマーシャ・ゲイ・ハー
ディンとローラ・リニーも印象に残ったが、老いてもなお美しく
愛らしいジェシカに。
関係ないが、ジェシカ・ラングとナオミ・ワッツは、自分の中では
イメージ的にかなり近いところにいる。ジェシカに負けないキャリアを
ナオミにも築いていって欲しいものだ。
【新人賞（キャスト部門）】
[トニー・ジャー] （『マッハ!!!!!!!!』←!は８つ）
【コメント】
やっぱりこの人でしょ？(笑)
【新人賞（スタッフ部門）】
[ ] （『 』）
【コメント】
誰が新人なのかよくわからない。
【脚本賞】作品名
『インファナル・アフエア 無間序曲』
アラン・マック／フェリックス・チョン
【コメント】
若干のほころびはあるにせよ、これだけ大勢のキャラクターをきちんと
動かし、シェイクスピア劇を彷彿とさせるような壮大な悲劇に仕立て
上げた手腕は、文句なしに素晴らしい。しかもそれを香港映画の枠で
やっているところが、さらに凄い。
【映像賞】
『スパイダーマン２』の特殊効果チーム
【コメント】
『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』ではあまりにも当たり前なので、
主要部門で賞を与えられなかったこちらに。今年はこれ見よがしの見せ物
的なCG映像が減って、ドラマを描くためのCG映像が増えたような気がする。
喜ばしいことだ。
【音楽音響賞】
『ドラムライン』
【コメント】
音楽／音響共に凄かったということで、この体育会系音楽映画に。
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