−：昨年は凄く忙しい１年だったと思いますが、時間の空いた時は何をして過ごしておられますか
北村：でも、自由な時間はたくさんありますよ（笑）
たまに、事務所の友達とフイルムを廻して遊んだりしています。交代しながら監督したり、みんな俳優さんだから豪華なメンバーですよ。
−：今、一番出てみたい監督は
北村：一番は、深作さんです。
たくさん、若い監督さんとかおりますよ。なんと言うかたくさんの監督とやってみたいですね。好きというよりは、入ってみて一緒に仕事をしてみないと分かりませんから。
付き合ってみないと分からない男と女の関係というか、一緒に仕事をしてコミュニケーションをとっていくと、端から見た感じと全然違うかもしれないし。
でも、まったく受け付けない作品を撮っている人はダメですけど。
−：一緒に共演したい方はおりますか
北村：思い浮かびませんが、演技の旨い方と共演したいですね。勉強したいというか自分のテンションも上がるし。それに、年輩の方で、もの凄く真剣に演じる方がたくさん残っているじゃないですか、その様な方と一緒にやってみたいですね。名前をだされれば、一緒にやってみたい、やりたいくないと言えますが絶対この人とやってみたいという事は、今の時点ではないですね。そう言えば、冗談になってしまうかもしれないけど キムタクかな、ＳＭＡＰファンなので（笑）。
あと、同じ事務所ですが、マコ・イワマツさんは好きですね、カッコ良すぎて敵わないな〜という感じですが、一度共演してみたいですね。
−：これからも映画中心の仕事をしていく予定ですか？
北村：はい。
ＴＶはあまり好きではないので。必要なのかなとも思いますが、今は映画中心でいきたいですね。
−：「悲しきヒットマン２」も印象深い作品ですが、ステップを踏む演技等は自分で作り出したものですか
北村：キャラクターは、監督が東京の人なので、大阪弁がわからないということで僕が”大阪にこんな言葉、無いですよ”と、一緒に監督と話をしながら、セリフの相談したり、自分の役は普通にやってしまうと盛り上がりに欠けるのであの笑い方を考え、この様な笑い方をしていいですかと監督に確認し、監督も気に入ってもらいました。
いつも、役を考えるのが好きだから、監督と合えば自分なりに演じられますのでその点がいいですね。
演技していない様な、演技ということもわかりますが、
やはり観ている人が楽しめる様な、分かりやすい演技も大事だなと思っています。とくに今邦画は、娯楽性が少なくなっているので、大人も子供も楽しめる様な解かりやすい映画が必要だと思うし、お金を払って、観て、いちいち考えさせられる様な物はいらないと思う時もありますね。
−：先日、森田監督と話した折りに暗い世の中だから明るい映画を撮りたいと言っておりましたね。
北村：バランスが悪いんですよね、マスターベーション的な映画が多いのでその点、三池さんなんて楽しいですよね。
−：そうですね、映画を観た！というインパクトがあるというか、三池さんの作品には躍動感がありますよね。
北村：やはり、ヤクザ系に傾いているという事はあるんですけど、逆にその内三池さんがラブロマンスを撮ったらどうなってしまうのかな（笑）と思ったりしちゃいますね。
−：望月監督のは、落ちていく男女の愛といい感じ
北村：でも、ラブって言う感じではないですよね。
−：そうですね、最後まで落ちた後の男と女だから
−：「完全なる飼育」の、あのコミカルな演技は、ある程度自分なりに自由に演じた方でしょうか
北村：あれは監督もコミカルにしたい部分があって、じゃーこの様にしましょうかと相談して、あとは自由に髪型とか変えたり、歯の矯正など付けたりして。本当はあの姿で結構シリアスなというか、普通なお芝居をしたかったのですが、あの姿でわざとらしい演技があって、「これ以上やったら監督、コントになっちゃいますよ」と言ったら「ＯＫ！」と言うので（笑）「はい、解りました」と言ってやっちゃいました。
−：今後、海外からオファーがあれば？
北村：出たいです、外国の映画に行きたいですね。
−：アクションでも何でも、ジャンルは問わず？
北村：ジャンルは問わず、まずはアジアへ行きたいですね。
香港、韓国、台湾・・へ出たいですね。出たいというか出ますよ、絶対に（笑）。
−：望月監督の作品によく出演されてますが、望月さんの映画で好きなところは？
北村：人間的に望月さんとは凄く合うので、演出も判りやすいですし。
そして、三池さんと望月さんは三池さんは、パッション。望月さんは、エモーションという感じで極端なのですが、二人とも、このシーンはこの様に撮るのかなという自分の想像を超えてくれたり。出来上がった作品を見て、ああー、あのシーンはこうなるんだと言う感動があるんですよね、凄いなと思います。
−：「ＪＯＫＥＲ」の時には、本当に歯を抜いたのですか？
北村：抜きました。前歯を５本くらいバラバラに抜いて、あと残った歯を削って。抜いた後、やって良かったのかな？と思ってしまいましたが
−：それは「ＪＯＫＥＲ」の為にですか？
北村：はい。後々後悔しましたが（笑）
映画に入る前は、何も考えないで抜いちゃったのですが、自分ではもう少し違う出来上がりを期待していて、演出などもそうなのですが脚本を読んで、もっとバカで凄く純粋な役だと。監督と話しをする間も
無くて、会う前に勝手に歯を抜いてしまったのですが。取り敢えず、目だけは純粋に相手を見て話をする、また食べるシーンがあったので、品の無さって口元に出るじゃないですか、だからそれだけ考えて、じゃー歯を抜こうって、歯医者さんへ行ったら驚いていました（笑）。結果的に出来上がりが違ったから、いいかなと。だから、抜いたからって、たくさん見せたくも無いし、いかにも抜きましたというのも嫌いでしたね。
−：好きな映画、好きな俳優、好きな映画監督は？
北村：ごく普通のみなさんが好きな洋画が好きなんですよ。
スターウオーズは昔の３部作の方が好きですね。
−：自分の作品は必ず見ますか
北村：あまり見ないかな、初号で見るくらいですね。
そうですね、観て勉強になる良い映画は、他の人に聞いたりして観るようにしていますが。あまり観ちゃうと映画オタクになってしまって、感覚的に判らなくなってしまう面があって、何でも良いね、良いねとなってしまって演技でも玄人受けする様になってしまう事とか、考えてしまうので。小さい頃から持っていた自分の感覚を無くしたく無いという気持ちがあって
だから、映画は普通の方々と同じくらいしか観ていないと思いますよ。
−：昨年の日本映画でのお気に入りは？
北村：三池さんの「DEAD OR ALIVE」です。
僕も初めに、サングラスを掛けて踊り狂っている若者役でちょっと出ています。テロップも”謎の踊る男・一輝”しか書いてなくて（笑）
ラストの裏切り方は賛否両論ありますが、僕はとても好きですね。
あと僕ね、好きな映画「ムトウー」。
−：楽しい映画ですよね。
北村：インド映画ですね、僕は分かりやすい映画が好きですね。
−：映画の仕事のどこが、（他の仕事に比べて）好きですか？
北村：僕の作品は単館上映が多いですが、監督と一緒に話し合って役作りができ、もの凄く丁寧に役作りができるということが、映画には限らないでしょうが、好きな所ですね。
けして、現場の時間はＴＶも変わらないと思いますが、その準備に時間が掛けられるという部分が、一番、自分の仕事の中で大事な部分だと思っています。
それまでに どれだけ自分の中で役作りができるかというだから、準備すれば、あとは現場に行ってやってしまうだけという感じですので。
必ず、監督とは話をします。自分勝手にもやりたくないし、あの、結構監督が喜んでくれる様にしたいし。自分がこうしたいというよりも、どう見えるかというよりも、監督が何もしないでと言えばその様にしますし。
−：北村康から北村一輝さんへ改名されましたが、その理由は？
北村：事務所に入る前は本名でしたが、入る時に名前を変える様に言われまして。
名付け親は、三池さんです。改名する時、一週間後に三池さんに名前を考えていただくことになっていて、一週間経ってから会った時「どうなりました？」と聞いたら「お？お〜！・名前は・一輝！、カッコイーだろ〜」と、でも完全に会うまで忘れていましたね（笑）、その後、字画を調べ、よかったらそれにすると言うことになりました。
2000年２月８日 渋谷ルノワールにて
インタビュー：OSONO、H.Maeda
この度のインタビューに際し、北村一輝様はもちろんのこと事務所の宮下様にはスケジュールの調整にご尽力いただき、この場を借りてお礼を申し上げます。