−：ラストの直子だったと判ってしまう場面で、平介の怒りは１発のパンチだけじゃ足りない、めちゃくちゃ殴っても良かった（笑）という感想もありました。
間瀬：原作はどうだったか知っていますか？
−：原作は殴らないで、殴ろうとして泣き崩れてしまった。
ラストは裏切られたという男の気持ちから、もう１発なぐってほしかったということかな。
滝田：いや、それは原作のもっている雰囲気といいますか、原作は殴らなかったですね。
僕も原作を読んだ時は、女はずるいんじゃないかと（笑）
これは、みごとに女と男では感想が別れるし、年代別にも分かれるでしょう
あれはね、読者なり、見た方に委ねるしかないね。
自分が親になったらどうするか？
だから、先ほどの空白の５年間を、どう過ごしたかを想像してもらえればいいと思います。
出来なければ映画の力が足りないのかもしれないし、あれは何発というのはナンセンスですね。絶対、統一できませんから（笑）
そこを自分に置き換えてもらえればと言うことしか言えませんね。
−：僕たちは宇宙から来ましたというセリフは、広末さんの「２０世紀ノスタルジア」に掛けたセリフですか
滝田：僕はぜんぜんありません。（キッパリ！）
どうして、そういう事にこだわるのかな。
それが、どーしたんだよー（笑）と言うことで、映画にとって、つまらない質問ですね。
まー、それは、そうでしたと言えばいいことかもしれませんし、もちろんこだわる方もいるかも知れません。
−：では、次に「お受験」についてですが
大杉さんをお使いになっていますが
滝田：大杉さんとの付き合いは、古いですから
−：ベランダで花火を持ちながら、大杉さんが部屋に入ってきて、カウンターに座り、硬直したあと、あるセリフで振り向く場面がありますが、あのシーンは独特の大杉さんの雰囲気があり、面白かったというコメントがありました。
滝田：硬直したあとのリアクションですか
そこで、彼らの関係が判ればいいなと。
この様に、がやがやしているけれど、誰かが話し始めるとふっとみんなが振り返る瞬間ってあるでしょう。そういうチームなんだと、そういう人間関係なんだということを、やったつもりです。
まあ、それは言葉にしてはいけないんだけど（笑）
−：大杉さんが、奥さんを連れて、車椅子を押して走り出すシーンがありますが、あのシーンは、彼がリタイヤした後を想定しているのでしょうか
滝田：あれは、どちらでも良いという解釈ですね。
リタイヤしたのか、最後まで完走したのか
自分にとって、大事なのは何かという事を感じて頂きたいということで。
私は、大杉さんとは古いので、彼に美味しいところをあげたいという個人的なわがままと言いますか、大杉さんへの愛情です。
愛情は変かな（笑）
−：何本くらい撮っておりますか
滝田：そうですね、実際は６，７本でしょうか
まあずっと、いっしょの空気を吸っていましたので。
（No.4に続く）